今 海外から注目されている日本美術会

アリサ・ヴォルグさんが訪問

6月10日(木)研究のため日本美術会を訪問され、資料部の武田昭一、国際部から遠矢浩子・木村勝明が対応した。メリーランド大学人文学科 美術史学科の准教授であるアリサさんは、フルブライト研究員として早稲田大学文学部に来られている。この日来訪されて意見交換や資料提供をした。

彼女は戦後の日本の民主化と美術の問題をテーマとしておられるようだ。メリーランド大学には、戦後JHQとして日本に来て文化系の雑誌などの検閲などした人がその収集した資料などを大量に保管していて、その企画展示などもしている。「その当時の検閲の資料も提供できます」と言われていた。(彼女はその当時の日本の企画版画展のキューレターもされている)

アメリカの研究者が日本美術会を訪問したのは彼女で二人目である。一人目のジェスティ・ジャスティン氏は彼女の後輩という、アメリカの美術史学会の日本近・現代の研究者は学院生も含めると20~30人は居るらしい。その何人かは知らないが、日本美術会が戦後日本の美術における民主化というテーマで、日本美術会の創立やその歴史に興味を持ち、偏見の無い公正な眼で今研究しているわけである。当然当時の大きな問題であった美術家の戦意高揚画の責任問題も話題に上った。自由な意見交換も出来た。昼食もして交流も進んだ。

彼女は30代の若い研究者で、古い資料もすでに自分で古本屋から購入され、日本美術会のホームページを見て、情報を収集されている。日本語も独学で読み込むことができる。細かい点まで知っていて、すでに多くのわが会員諸氏より、創立当時の諸問題を知っておられるわけである。アメリカからわが会を研究対象としてはるばるもう二人も来ていて、熱心に資料収集して今後その資料を読み込んで、深く検証しようとしている。

時代は変わる、そしてより世界史的な視野から日本美術会がまた振り返られる。

新しい世代が、そして日本人でなく海外から外国人が、今日本美術会に注目してくれている。

そういう時代になったのだな~!と感嘆する今日この頃であった。(木村勝明・記)