アルゼンチン便り NO.8 (海外の会員からの通信)

La Noche de los Museo (美術館の夜)

10月1日(土曜日)ブエノス アイレス市にある53の美術館が午後7時から午前2時まで開館し、美術館の夜が開 催されました。ジャズ、フォルクローレ、タンゴなどのコンサートも庭園などで聞くことが出来、作品について説明するガイドもいて多くの人が訪れました。こ の企画は毎年行われるのですが、今年は議員選挙が10月23日に行われる前だったので例年より力が入っていると聞きました。主催者はブエノスアイレス市で す。(東京都が都内の全ての美術館を無料で一夜開館すると想像してもらえばよいです)

26ページのパンフレットにはブエノスを5地区にわけ、どのように美術館を廻ってみればよいか地図、展覧会の内容 が書かれ、コレクティーボ(市内バス)29番,124番、130番は午後6時から午前3時まで無料で利用できました。

美術館には下の写真のようにワインが用意され、作品を見ながら集まった人たちが歓談したり美術館の人の説明を聞い たり、美術館にあるクラスについて質問したりしていました。私は住んでいる地区にある美術館を回りました。写真は最初に訪れた紙の美術館です。この美術館 では手造りの紙、リトグラフの作品が見られます。使っている素材は麻、綿、古紙の再生、布からの再生、が主で和紙の素材、楮、三椏、雁皮などは使われてい ません。乾燥の方法は参考になるかなと思いました。館員が素材を使ってどのように作成するか実演説明をしていたのは、紙、版画のクラスの宣伝でもあるよう です。

 

紙の美術館にて
おいしいアルゼンチンワインも、
ジースも飲みました。

紙の美術館入り口

作品牛

小さな紙の美術館内部
 

この作品は紙を貼って彩色した立体です。牛の牧場が沢山ある国なので作品に牛が題材になっていることも多いで す。アサード(フィエスタで必ず食べる牛の炭焼き)の素材を買いに行こうと言われて一緒に行ったら、牧場に連れて行かれ、生きた子牛のどれにするかと質問 されびっくりした話を日本人から聞きました。感覚の違い、文化の違いを突きつけられるとき島国に育った私たちはおたおたしてしまうことも多いです。

この後、二つの美術館を回ったら私の足が限界になり、夜中の2時まで次々と訪問する体力が無く帰宅しましたが、 誰でも無料で美術作品に触れるチャンスを地域単位で提供するのは日本にはないなと思いました。(ギャラリーめぐりなどはありますが・・・)

2005.10.29   遠矢 浩子記