アルゼンチン便り NO.12 (海外の会員からの通信)

アルゼンチン便りを書いて12回目になります。腹を立てたり、笑ったり、おいしい肉を食べたり、ワイ ンを飲んだり、SAVINAのCDを聞いたり、ボランティアの仕事で悩んだりしている間にとうとう2年がたってしまいました。

その間に隣の国チリでは初めての女性の大統領ニチェルが選ばれ、ボリビアでは初めての先住民の大統領 モラレスが決まり、ニュースによく顔が出ます。今年一月にメキシコで出会ったチリ美人が、これからチリは良くなる、と言っていました。国民に希望を与える 大統領は良いですね。ただ南米の中で左派の大統領がこれからどんな政治を行っていくのかとても興味があります。

今の私は丸い地球の反対側で日本から見たら地球にぶら下がった格好だと思います。汗や、涙は宇宙に飛 んでいくことでしょう。

買い物の支払い

買い物に行くと入り口に受付順番の番号の紙をとる丸い用具が設置されています。パン屋、お菓子屋、薬 局、郵便局などなどで順番が来ると買う品物を量ってもらったり、買いたい物を準備してくれます。お金を払う場所(caja)

パン屋の番号札
 

地下鉄のエントランスで見た美術作品(テーマご み)
 

で支払いし、品物を受け取ります。パン屋などでは小額なので現金で払いますが、靴屋とか、薬屋、洋服 屋などでは、FACTURAですかカードですかと聞かれます。亜国でカードを使うのは怖いので、FACTURAと答えます。てっきり現金払いの事を指すの かと思っていたら、FACTURAは請求書を意味し、金額、物品税金21%で合計金額いくらと書いてある明細書のことでした。毎月送られてくる電話代など の請求書にFACTURAと書いてありました。支払うとこれに領収印を押してくれます。

先日観光客で賑わっているフロリダ通りにある革の店でジャケットの試着をしました。アルゼンチンの人 の体型とは違うので袖が長く、肩幅が広かったのですが2時間で脇の狭いのも直すから、仕立て直しの料金は要らない、FACTURAだと20%値引きするか らぜひ買ってと薦められ、ほかの店に聞いたときより安かったので買うことにしました。2時間で雑に直されても困るので次の日に行くからきちんと直すよう依 頼しました。

FACTURAというと靴屋、洋服屋などでは10%値引きしてくれるところが多いのですが、この店で はお金を支払ってもFACTURAをくれません。自分用なので領収書はもらわなくて良いかと、品物だけもらって帰りました。

後日アルゼンチンの人にこのことを話したら、その店は悪い店だ、値引きはしていない。FACTURA を出さずに店が払わなければならない税金の分だけ安くするからと言って売っている。この店は代金を、売り上げにいれず税金逃れをしている店だと、この国の システムがわかっていない外国人相手に不正な売り方の店だと苦々しげに言われてしまいました。

相手がにっこりと品物だけ渡したら、受け取る側もにっこり笑ってFACTURAを渡すまで待っている こと、それをしない店には品物を返して、さよならと帰れば良いのだそうです。税金逃れに加担してしまったのかと反省しました。

この道の両側の店はこのような店が多いそうです。

またFACTURAにはほかの意味もあり、パン屋さんなどで“FACTURA DOCENA  $4”と書いてあったらクロワッサン、や甘い菓子パンを指し12個で4ペソということにも使うそうです。

また、スーパーでそんなに金額が多くないのにカードで払っている人を良く見かけます。身分証明書 (DOCUMENTO)とカードを出し番号を控えたりするので時間がかかります。そんなに高い買物をしてるのでもないのにどうしてカードを使うのだろうと 思っていました。ずらっと行列が出来ても平気です。ただ、カードで払うのも理由があって、銀行によってはサービスのため買い物税21%から5%を個人の口 座に戻してくれるそうです。そういうサービスをして銀行は顧客をあつめているようです。

経済破綻のときの不信感、給料振込みの遅配などで日本のようにガス、電気代などの銀行の自動振込みを 利用する人は少ないようです。

このようなことが少しずつわかってきたころにボランティアの任期も終わり、帰国することになりまし た。帰国準備もあるのでこれで終わらせていただきます。これを書くことで日本と繋がっている気がいたしました。

日美で皆様とお会いできるのを楽しみにしています。

追記:NO.11で紹介した井上麦さんの今年の日本でのスケジュールを書きます。

以下 井上麦氏記:

「私の日本での予定ですが、二子多摩川の玉川高島屋の屋上庭園にて、石彫作品を4月末より1年間展示 します。ちなみに個展ではなく、3,4人の作家の野外彫刻展です。テーマは、触る、座る、遊ぶなど。

また、4月20日前後より3週間ぐらい、山梨県甲州市塩山南小学校にて、 ケヤキ物語と題して木彫の公開制作を予定しております。体育館建設のため切られたケヤキの大木を使って子供達の心に残るものを作ります。」

2006年3月24日 遠矢 浩子記