国立版画美術館
友人が日本に帰るとき、奥さんが指貫を収集しているので、お土産に持って帰りたいからアルゼンチンの骨董を探して くれないかと頼まれて、骨董市が毎週末開かれているドレーゴ広場に行きました。プラサ・デ・マジョ(5月広場)からカージェ・ディフェンス(道の名前)を ぶらり、ぶらり歩いていくと道の両側に骨董屋が並び始め、あちらの店、こちらの店と寄っていくと、広場にたどり着くまで時間がかかります。日曜日は道も歩 行者天国になり、楽器を演奏する人、操り人形と本人が同じ服を着て酔っ払いの所作を演じている人、道で絵を描いて売っている人、タンゴを踊っている人、 マッチ棒を削って人物を作り小さな壜の中に入れて売ってる人、様々な人に出会えます。ドレーゴ広場には小さなプエスト(屋台の店)が立ち並び骨董品を探す には良い場所になっています。
ブエノス・アイレスの街は大統領官邸カーサロッサ(最初は動物の血で外壁を塗ったと言われているピンク色の建物) のある5月広場から街を作っていったそうなので番地もここが0番地で放射状に一区画約百メートルに一本碁盤の目のように道が作られています。5月広場の周 りの建物も歴史建造物になっていて、その一帯は勝手に建物の外観を変えてはいけないことになっているそうです。ディフェンス道沿いの古い教会の先に見逃し そうな地味な入り口ですが、国立版画美術館を見つけて入りました。
受付の人と話していたら版画のクラスがあると聞き、どんなプレス機を使っているのか見学させてもらえないかと交渉 したら、クラスに参加しないと中の版画制作の様子は見せられないといわれ、5月からクラスに参加する羽目になりました。月謝は35ペソ(1200円位)毎 週一回です。木版からやることにしました。古い建物で天井が高く、花が咲いている広い中庭もあり、トイレの鏡、作り付けの洗面台、ドアもアンティグアで しっくりくるし、プロフェソールも静かな人、生徒二人のクラスなのでプレス機を使う順番を待たなくていいし自由にやらせてもらっています。展示室は二つあ り、今、一室は多色刷り木版の個展、二室は数人の作家のリトグラフが展示されています。版画を売っているコーナーもあり、係りの人も版画家で彼女の作品の 話しも聞けます。
今、沖縄の佐喜真美術館でアルゼンチンの版画家ラファエル・ヒルの企画展を5 月16日ま で開催されているそうです。「食人の風習」「戦争」シリーズでアルゼンチンが今から約20年前(1976~1983年)の軍 事政権時代に3万人ぐらいの若者が殺されたり、行方不明になったりした悲惨な時代をテーマにしているそうです。その時代にどんなことが起こったかを書いた 本「NUNCA MAS」を買ってきましたが、私のスペイン語で何処まで読破できるかわかりませんがアルゼンチンを知るポイントだとも思っています。映画「la noche de los lapices」 もそのとき起こった事実を映画化されたものだそうです。
遠矢 浩子記